太陽と月−忘却の情景

今日はバス停泊の予定。夕暮れが近づく空を見ながら,期待は高まる。そして太陽は沈み始めた…。夜は満月に近い月がぽっかりと浮かんで…。
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夕暮れへ…

昨日は念願の雄冬を訪れ,一夜の宿をとることができて大満足。今日の予定は濃昼(ごきびる)の辺りまで約36q前後である。

今日はうまい具合に宿がないようなので,バス停か何かで野宿だろうと考えながら歩く。雄冬の南側は地形が大変険しく,長いトンネルの連続だったので,これでは確かに陸路が通っていなかったのもうなずけるなと思った。

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雄冬にて

今日の予定は約36qなので,朝は8時に出発しても到着は夕方の6時ぐらいになってしまう。やはり最終セットの9セットめを歩き出す頃にはすっかり夕暮れになり,太陽は西の空へと傾いていた。

暗くなってからの歩行は危ないし心許ないので,いつも夕暮れ時は少しあせった気分で歩くのだが,今日は先ほどから気になっている大きな楽しみがあった。それは,西の太陽が沈む方向の水平線辺りに雲が少なく,うまくいけば水平線に沈む太陽が見られそうだったことである。

太陽−日没

私は生まれてから今まで,雲にじゃまされずに水平線に沈む太陽というものを見たことがなかったので大きな期待をしていた。数日前もチャンスがあったのだが,ちょうど夕陽が沈みかけている時に歩いていたところが山の中であり,山にさえぎられて日没が見られずにくやしい思いをしたので今度こそはと思っていた。

そんな私の願いが通じたのか,夕陽はしっかりと雲にじゃまされずに水平線に沈み始めた。

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水平線に沈む夕陽

「この感動は言葉にならない」というコピーをいつか何かの雑誌で見た記憶があるが,まさにその言葉通り。夕陽の円が半円になり,だんだん沈んでいく情景は本当に見事であった。線香花火の玉がゆっくりと水の中に沈んでいくという感じであった。

月−昔々の世界

しかし,この日のハイライトはこれで終わった訳ではなかった。自然はもう一つの素晴らしい情景を疲れきった旅人に用意していてくれていた。その情景は今日の宿泊地の濃昼のバス停に到着し,買っておいた弁当を食べ終わってちょっと外へ出た時に目の前に広がった。

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濃昼のバス停

「昔々の世界」と言ったらよいだろうか,ほぼ満月に近い月がぽっかりと濃紺の空に浮かび,濃昼の集落とそれを囲む山々をあざやかに照らしあげていたのだった。はっきりいってその瞬間は言葉を忘れた。今でもこの情景はしっかりと瞼の裏に焼き付いて離れない。

そしてこの大自然の美しい情景のもと,私はぐっすりとバス停の中で眠ることができたのであった。

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