雨とサンマ

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日本縦断歩き旅2日め。朝からドシャ降りの雨。民宿のやさしいおばちゃんに作ってもらった弁当をザックに、ただ一人、北海道の大平原を歩き出す...。

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出発

宗谷岬を出発して2日め、朝起きてみると外はドシャ降りの雨。台風の通過待ちで宗谷岬のスタートを1日遅らせたのに、まだ台風の余波が残っているのだろうか、などと寝ぼけた頭で考える。

まあこれだけ長い旅だ、降られることもあるさと開き直って、宿のおばちゃんにつくっておいてもらった弁当をザックに詰めて宿を出る。

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スタート・宗谷岬

昨晩の宿は飛び込みで入ったのに、宿のおばちゃんは、急いで風呂を用意して夕食までつくってくれた。それに夕食で出たサンマが私の好物だと言ったら、朝食にもサンマをつけてくれるなどといろいろ気を使っていただいて嬉しかった。

そんなおばちゃんに見送られて雨の中を歩き出す。しかし雨は一向にやむ気配を見せず次第に風を伴って強くなる一方である。

雨とミスコース

レインスーツ(=カッパ)を上下着て、カサもさして歩く。途中から道の関係で向かい風になったのでカサが使えなくなりレインスーツのみで歩く。

もうはっきり言って「やめたい!」と思う。カサも手に持っている地図も全部放り出して「ちっくしょ~!やめてやる!!」と叫んで何もかも投げ出してしまえたらどんなに楽だろうかと何度も何度も考える。

そんなことばかり考えているうちにどうも道があやしくなってきた。T字路にぶつかったので予定のコース通り右に折れる。と、何と方向が全然違う!磁石を使って確かめると、南西へ向かっているはずの道が真西へのびている。

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真っ直ぐな道

土砂降りの北海道大平原。迷ったら一大事。焦る自分に冷静になるように言い聞かせ、近くにあった民家に飛び込んで道を聞く。どうやら新しい道ができていたようで、それが地図読みを狂わせたらしく、正しい道がわかってホッと一息。

弁当の中身

私は4㎞を50分で歩き10分休憩するというパターンで歩いているのだが、雨の日などは屋根があって休憩できる場所があまりないと大いに困る。

特に北海道はそれが顕著で、この日の午前中の休憩は本当は3回とる予定だったのが、農家の納屋とつくりかけの倉庫の中で休んだ2回だけであった。それでも何とか午前中の距離を消化し、昼食は牧場事務所のトラクターの倉庫の中にもぐりこんで食べることにする。

グランドシートを下に敷いて座り込み、疲れきった身体と頭で弁当のつつみを開けると、そこには2つのおにぎりと仲良く並んで、私の好物のサンマがまたもやしっかりと入っていたのであった。

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岩木山を望む

私は昨晩の宿のおばちゃんの人のよさそうな顔を思い出し、思わず一人で笑いをこらえ、何ともいえない楽しい気分になり、疲れも忘れて楽しい昼食のひとときを過ごしたのであった。