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旅先では「何処からきたのか」ということを聞かれることが多く,「出身は東京ですが,北海道宗谷岬から歩いてきました」と答えていました。話が就職のことになると,将来は何処で職に就いて暮らすつもりかということもよく聞かれました。
私は東京都の教員採用試験を受けて結果待ちの状態だったため,「東京に帰って教員をします」と答えていましたが,旅の途中までは「(東京は)あんなところでも一応故郷ですから」という断りをつけずにはいられませんでした。
それは大学のゼミで社会学的に「東京」という都市を一年間かけて研究した結果,やはり東京はある意味で異常な都市で,人間が住むのには適さない環境であるという一つの結論が私の中でできていたからです。
しかし,旅も後半戦にさしかかってくる頃には,望郷の念とあいまって,東京という地をこよなく愛し,懐かしく思っている自分に気づき始め,東京のことを「あんなところ」などとは言えなくなってきてしまいました。「故郷は遠くにありて思うもの」の言葉通り,長い間離れてみて,やっと故郷・東京の有難さが身に染みてわかったような気がしました。
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